介護事故

介護事故に関するトラブル件数の増加

介護事故や介護サービスのトラブルは、近時、裁判例が急速に増えている分野であり、法律相談を受ける機会も増えていると感じています。
その背景には、単に、高齢者の数が増えたというばかりでなく、人生80年時代の到来と個人の権利意識の向上により、これまでは高齢だからやむを得ないと諦められていた事故を、施設の重大な過失と考え、泣き寝入りせずに訴える方が増えてきたことがあると思われます。
他方で、施設としても物的、人的な限界があり、他者の手助けが必要なほど身体的、精神的な機能が低下している高齢者を相手にしている関係上、実際に、避けられない事故も多くあるのが実状です。
そのため、介護事故は、施設側に法的責任があるのか、あるとして、どの程度かを判断するのが困難な場合が多い事案といえます。

介護事故の対応のポイント

1.リスクマネジメントの重要性

施設介護の特徴は、複数の職員がローテーションで利用者に介護を提供するところにあり、多くのトラブルもそこから発生しているように感じます。
施設としては、

  • 職員同士のチームワークを強化し、利用者の情報を共有できるようにする。
  • 業務をマニュアル化し、職員による違いや差をできるだけ小さくする。
  • 事故事例に関する研修を積み、それぞれの職員が、危険を見抜く技量を向上させる。

などの対策をとり、事故が発生しないようにすることが、まず、大切です。

2.適切な初期対応の重要性

介護事故が起こったとき、介護施設の初期対応に問題があったことで、トラブルに発展するケースが多く見られます。
介護の過程において事故が起これば、利用者や家族に対しては、申し訳なく思うのが通常の心情でしょう。他方で、施設が必要以上に謝罪をしたことで、利用者や家族のほうでは、やはり施設に過失があったのだと考えるようになり、トラブルの種になる可能性もあります。
大切なのは、事故に関する適切な説明を利用者や家族に行うことですが、どのような説明が適切かを判断するのは、難しい問題です。

こんなときはご相談ください

介護施設を利用する方の身体状況、精神状況はさまざまであり、事故の原因もまた、さまざまです。
そのため、介護事故は、その分野に注力し、日頃から裁判例等をチェックしておかなければ、専門家であっても、今回のケースで施設側に法的責任があるのか、あるとして、どの程度かを判断するのは容易ではありません。
介護事故は、施設が高額な損害賠償の責めを負うリスクがあるばかりでなく、たびたびのトラブルの発生自体が、施設の社会的信用性を失わせ、ときには、今後の事業の継続を困難にすることもあり得ます。
横浜みなとみらい法律事務所では、トラブルとなってしまった多くの事案を取扱い、事案毎に、適切な対応に関するアドバイスを差し上げ、ときには、代理人として交渉をし、裁判でも争っています。

  • 施設として、十分なリスクマネジメントができているか教えて欲しい。
  • 介護事故が起きてしまったので、どのような対応をとるのが適切か知りたい。
  • 介護事故でトラブルとなってしまったので、専門家に対応を委ねたい。
  • 施設には責任がないと思うが、裁判になっても負けることはないか知りたい。

このような場合は、介護事故に詳しい弁護士に、是非、ご相談ください。

弁護士費用

介護事故に関する弁護士費用をご覧ください。

この記事を書いた人

弁護士 伊藤康典

横浜みなとみらい法律事務所代表弁護士。
東京大学法学部卒業。平成16年度司法試験合格。都内法律事務所勤務を経て、2014年、横浜みなとみらい法律事務所を設立し、所長(2020年現在、弁護士6名)。

個人事業主、中小企業、上場企業の顧問業務のほか、交通事故、相続(遺言、遺産分割、遺留分減殺)や成年後見、建物明渡し等、個人の方からのご依頼にも注力しています。依頼者に待ったをかけるのではなく、依頼者の背中を押す弁護士でありたいと思っています。